自然光は最高!?
さて、折に触れて「自然光だから最高」という言葉を見かけます。
否定はしません。
自然光だけでバッチリ露出バランス取れて綺麗な写真撮れれば気持ちいいですしね。
それはそういう環境が整っていたというだけのこと。
誤解を恐れずに言えば、多くは「縛り」にしかならない。
光の方向や強弱も変えられなければ、背景選択も制限が出る。
逆にそういう縛りを上手く使われるセンスの良い方も仲間内のカメラマンにはたくさんいます。
でも、それはそれ。
問題は、自然光と人工光源を対極的に捕らえる人が多くいますが、それは違うと思うこと。
ライティングは(自然光も含めて)ひとつのまとまったシステムであると、とある方がブログで述べられておりましたが、全くその通り。
なので、やれ「自然光だから最高!」「自然光は盛れる!」という妄信的に感じる発言を見かけるたびに首を傾げてしまいます。
はじめはだいたい自然光撮影から始めますが、その後、レフ板を使ったり、ストロボを買い足し、ほどなくしてオフカメラライティングで自分で光を操ることで、改めて自然光の良さと扱いの難しさを痛感します。
戻りますが、ライティングはシステムであるという話。
ある撮りたいイメージがあったときに、露出バランスを整えるのが人工光源のお仕事。
被写体の存在感を引き立たせつつ、その画の中になじませるさじ加減がすべてなのではないか。
1. 遠い背景やその場の環境光露出はカメラでしか基本的に設定できません。
2. 近くにいるモデルさんはカメラだけでなく、補助光の使用で露出をコントロールできます。
ポートレート撮影する際にまずどこを見て、どこに露出を合わせますか?
被写体?それは正解でしょう。
でも…
極端な話をすると、例えば、天気の良い昼下がりの屋外、半逆光でポートレートを撮るには最高!というシチュエーション。
そこをいきなりモデルに露出を合わせて、背景が真っ白に白飛びして、どこで撮ったのかさっぱりわからない写真。辛辣で申し訳ないですが、背景が真っ白でいいのなら、その場所で撮る必要はないのでは?と思います。
モデルがどういうロケーションで撮られているのかそういう情報も含めて1枚の写真なのではないかと思うからです。
そこで、背景が効果的に写るまでカメラの露出を下げてみる(暗くする)。
そうすると、今度は本来撮るべきモデルさんが暗くなる。どうするか?ここではじめてストロボ等の補助光を使います(日中シンクロと呼ばれるものですね)。すると今度はコントラストが強くなるので、その影を薄く(シャドウを持ち上げ)するためにフィルインライトを足します。2灯目のストロボを使うこともあれば、レフ板を使うことも。
補うこともできれば、方法を間違えば壊すこともできる。だからさじ加減がすべてだと言いました。
…とまぁ、今回は方法論の話ではないので、このへんにしておきますが、「自然光だから最高」はあまりに言葉足らずで誤解を受けます。自然光で雰囲気あるいい写真が撮れたのは、そういう光の読みができたことを素直に喜べば良いことだけだと個人的に思うので、触れさせていただきました。
光を読むって、決して小難しい理論ではありません。
難しいのは限られた時間でそういう場所をなかなか見つけられないこと。
この場所に連れて行けばこういう写真が撮れるという経験則や直感的にわかってることも大事です。
だから、可能であれば、事前にできるだけロケハンしておくに越したことはない。
脱線しましたが、ストロボを使うというのは自然光を否定しているのではなく、かといってストロボを使えば自然光がいらないということでもありません(スタジオ撮影等を除けば)。1枚の写真に描画するにあたってはミックス光です。対極ではありません。調和させるべきものです。得手不得手や思い込みでどちらかに偏った考え方をするのはあまりに損だと思いません?
改めて。
自然光はライティングコントロールのシステムの一部でしかない。
でも、屋外撮影では必ず絡むもの。
上手に使っていきたいですね。