2018年海イベントを終え

アイドル事務所主催の海イベント。
それはカメコ誰しもがワクワクな現場。

晴天の海辺!自然光で何も考えずにバッシバシ撮れる!サイコー!!!!

…んなわけあるかいw

イベント的に晴れれば嬉しいものですが、こと撮影においては、
強い光が当たる=強い影が出る
環境的に最も難しいわけで。

■フィルインライト(補助光)としてのストロボ

会場であった銭函y-beachのロケーションは、北に海、南に浜という配置、正午近い時間に海をバックに撮ろうとすると、思いっきり高い順光で、モデルはまともに目を開けてられません(^^;)
意識高いモデルさんは慣らしてきますけどね。

今年はドピーカンの快晴でしたが、風が強く、レフ板を使うにしろ、オフカメラライティングでストロボのスタンドを立てるにしろ、なかなか難儀な状況。

ぶっちゃけ、比較的広角のレンズで寄ってオンカメラストロボで撮るか、海を背景にではなく、浜側を背景(逆光)にして撮影するのがある程度の正解だったのではないかと思います。

…が!しかし!海に来たんだもの、海をバックにいろんな画角で開放的な写真を撮りたい!ってのが人情ってものwww

そんなわけで、経験者の方々は様々な対策を施してきます。

A.レンズを絞りに絞って、日中シンクロで撮る
B.NDフィルターを使って、任意の絞りで日中シンクロで撮る
C.シャッタースピードを上げ、ハイスピードシンクロを使って力技で撮る
D.レフ板を使ってシャドウを持ち上げて普通の露出設定で撮る

ストロボにとってはオーバーヒートしかねない状況ゆえ、過酷ですが。
ストロボを使う主な目的は2つあって、

①被写体と背景の輝度差を無くす(メインライト)
②被写体のシャドウを起こして極端な輝度差を無くす(フィルインライト)

ということですね。
要は、背景のまぶしさを抑えて、影を薄めたいのです(語彙力w)
影は消したいわけではないですね。立体の人間を撮ってるわけですし。

また、こちらは前にも書きましたが、ストロボをメインライトとして使った場合には、

③色かぶりを無くす(メインライト)

というのも加わります。
他にも、目にキャッチライト入れて表情を明るく見せるとか、そういうのもありますが、今回の話では関係ないので割愛。

前述のとおり、今回は風が強く、照明スタンドもレフ板も、アシスタントでもいないと厳しい状況ではありました。
実際、私も個撮の時間は手の空いてる仲間にアシスタントをお願いしました。

私の場合、いつもならばストロボをメインライトに据えることが多く、今回も2灯を使う予定でいましたが、アシスタントがいるとはいえ、扱うには厳しい状況だったので、発想を転換。

太陽をメインライトとして使って、ストロボをフィルインライトとしてシャドウを持ち上げる使い方に。
要は上記の②の用途に絞り込んでストロボを使用したわけです。

フルーティー♡ おまる ( 佐藤祐歌 )

こちら、多少のハイライトとシャドウのバランス補正はしてますが、基本、色も変えず、撮って出しに近い状態。

左上の方から太陽光(メインライト)、右前からストロボ1灯(フィルライト)。

そんなわけで、配置は太陽の方向に対し、90度の位置にストロボがくるようにアシスタントに動いてもらいました。

このストロボがなかったら、コントラスト強く、影の部分が真っ黒になります。
まぁ、それはそれでハードな感じで味もあるのですが、今回撮りたかったのはそういうのではないので。

ND8フィルターで3段分減光させ、ストロボの同調速度に収まるように調整。

■ISO感度とダイナミックレンジの話

あとですね…これはどこにも載っていませんし、経験則に基づく裏技的な話なんですが、環境が明るいからといってISO感度を下げるのも場面によっては考えモノなんですよね。

ISO感度を下げる→ダイナミックレンジが広がる→カメラが許容できる輝度差が広がる→より影が強く出るということ。

こういうとき、どうすればいいでしょうか…?
ISO感度を逆に上げればいいんです!!(ドヤ顔)

一瞬「はぁ?」「白飛びするじゃん」など思うかもしれませんが、
正確にいえば、NDフィルターで減光してISO感度を上げる
露出を上げるためにISO感度を上げるのではなく、ダイナミックレンジを狭めるためにISO感度を上げるのです。上げるたびに輝度差を失い、平坦なイメージになっていきます。

もちろん、上げるごとにノイズは増えますし、画質劣化覚悟の上ですよ?

だから、満足に照明を構えられないような環境のときには、緊急措置としてそういう使い方もできることを頭の片隅に置いておけば、応用が利くという話です。

それでもいまどきのカメラのセンサーはダイナミックレンジの広さの恩恵で、白飛び黒つぶれは現像時に何とかできるっていうのが実情ではあるんですけどね。

それより、早く綺麗に仕上げたいと思ったら、そんなところに時間かけてられない場合もあります。その辺の引き出しの多さで撮影方法や立ち回りも変わってくるのではないでしょうか。

■RAW現像の話

ちょっと前ですと、彩度やコントラストくっきりなわかりやすい写真が好きでした。
それは使ってるカメラのせいだったかもしれません。

PENTAXは巷で「PENTAXブルー」と形容されるように、昔で言えばリバーサルフィルムを使ったときのようなこってりした青の描写が特徴的。CANONは広告媒体等において標準であるがゆえ、目にする機会も多く、人物の肌色の表現が一般ウケしやすい等々…さまざまな特徴がありますが、いずれにしても、ただ「派手に」「綺麗に」仕上げることに必死だったと思います。

が、これって、やり始めると際限なくて、だんだんと感覚が麻痺してくるんですね。
自分の現像した写真を日を改めて見たら、「何じゃ!?このペンキで塗りたくったような写真はwww」と失笑することがありました。

やりすぎだったんです(笑)

あと、鬼門なのは「明瞭度」の調整ですかね。女性ポートレートで肌の質感を安易に整えたいがために、画全体に対して明瞭度を下げて、まるで夢の中にいるかのような「ドリーミー写真」にw

まぁ、簡単な話で。肌の補正は肌にだけやればいいだけのこと。
それでもやりすぎは良くない。

綺麗であることとそれを美しいと感じるかどうかは別問題。
無機質な人形のような写真になってしまうのは私としては本意ではありません。

前に触れましたが、自分の目で見たものが最も美しいと感じますが、カメラにはそうは写らないという話
RAW現像にしろレタッチにしろ、まず目で見た印象に近づけることが「第一段階」の主旨で、そこから先は作品コンセプトに応じて調整していくわけですが、軸がブレてはただただ迷走するだけ。
軸を見失いそうになったら、目を休めたり、先ほどの「第一段階」に立ち返ることも必要になってきます。

そんな中、今年に入り、SONYのα7IIIを使うようになり、ダイナミックレンジの広さと階調感がこれまで使ったカメラと比較して段違いだと感じました。つまり、自分が目で見たものをより忠実に写せるカメラだと思ったわけです。これまで学んできた照明の扱い方などに対して、相性的にもよかったのかもしれません。

逆に、今までの自分の基準では、あまりRAW現像で調整するところがなくなってきたんです。
いや、さじ加減がより繊細になったというべきかもしれません。

そういう部分で、これから先、再び軸を作り上げる1年になりそうです(^^;)

■おわりに

私の場合、毎年、海イベントって何かしらの発見があるんです。
その後の撮り方に大きく影響されるものだったり、乗り越えたい課題だったり。
1年の総括として改めて写真の面白さを感じ、次の1年でやりたいことを考えられる機会。

そういう意味合いで、書き留めておこうと思います。